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福田首相辞任! 日本は、そして東アジアは、どうなる?

福田辞任と日本の政局

9月1日月曜日の夜、福田首相が辞任を発表した。突然の辞任会見に、日本中が衝撃を受けたように思えた。

現実には、永田町では福田辞任は想定されていたことだった。もともと福田康夫首相は、昨年9月の安倍晋三前首相の突然の引退劇を受けて急遽誕生したものの、支持率は下がりっ放し、党内での人気もなく、いつ辞めてもおかしくはなかった。

今春に行われた通常国会は、いわゆる「衆参ねじれ国会」で、与党の提出する法案は悉く民主党の反対に遭って立ち往生状態が続いた。秋に始まる臨時国会でも、同じ状況が十分に想定される。衆参での審議がもつれれば、与党の戦術としては、解散総選挙に持ち込むのが普通だ。ところが、「福田総裁では選挙に勝てない」という思いが自民党内に充満していて、福田下ろしの風が吹き荒れていた。さらに、臨時国会の開催時期を巡って、与党・公明党からの強い圧力を受け、首相としての指導力、指揮力がまったくないことを内外に印象づけてしまった。もはや福田の首相としての存在意義は消滅していたと言っても過言ではなかった。

福田辞任を受けて、自民党では10日公示、22日総裁選の日程が決定した。次期総裁の最有力候補は麻生太郎。もし今日(9月8日)あたりに総裁選が実施されれば、麻生は圧倒的な差で総裁に選ばれるだろう。しかし、22日までの日程を考えると、麻生で決定とは言い難い。「選挙で勝つためには誰が最適か?」という思惑だけが優先する。小池百合子や石原伸晃のほうが勝てるという読みが浮上する可能性は、まだ残されている。

問題は、その先である。誰が総裁になり、首相になったとしても、解散総選挙は近い。今日現在の見通しでは、10月上旬解散、11月9日総選挙が与党内の強い意見だ。総選挙の直後、あるいは解散選挙期間中に、新党結成とか党内分裂とか、大小どの程度になるかは不明だが、必ず政界再編の嵐が吹く。その嵐を読んだ上での駆け引きが、水面下で激しさを増しているのが現実なのだ。

福田首相は就任直後から、外交音痴と陰口を叩かれ、日本の対外政策は独自路線を生み出すことができなかった。ただひたすら大国に諂い、すべて大国の言いなりになってきた。新首相が誰になるにせよ、決定までの空白期間は、またしても日本は鎖国状態に陥るわけだ。だがこの状態に衝撃を受けた国がある。北朝鮮である。



片づかぬ北朝鮮問題

核を巡る6カ国協議では、今春以降、米朝二国間の微妙な駆け引きが続いていた。6月には北朝鮮が寧辺の冷却塔を爆破、その模様をTV中継し、ギリギリの駆け引きの中で、8月11日には米国が「テロ指定国家」から正式に解除するとの推測が世界に流れていた。事実、本紙もそう考えていた次第である。だが最後の局面になって米国は、「申告した核計画の検証の具体策に合意していない」と北を切り捨て、テロ指定国家解除を行わなかった。ただし先送りしたものの、今後はいつでも解除が可能であり、「北朝鮮が検証での合意を受け入れ次第、直ちに解除に踏み切る」と暗に北朝鮮に対し、状況次第での解除をほのめかせていた。それを受けて北朝鮮が、何らかのサインを世界に投げかけ、この問題も解決に向けて前進するだろうとの見方も強まっていた。

ところが、である。テロ指定国家を解除しなかった米国に対し、北朝鮮は態度を硬化させたのだ。8月末には核施設の無能力化作業の中断を公表し、強硬姿勢に転じたうえで、「大国が小国をもてあそぶ6カ国協議は、果たして誰が必要とするのか」とし、ブッシュ米政権の対北朝鮮外交の最大の成果とされる6カ国協議からの脱退もちらつかせ、米国を恫喝し始めたのだ。

いっぽう北朝鮮は日本に対し、拉致問題の再調査を条件に、北朝鮮に対する制裁解除を求めていた。8月下旬の五輪閉幕直前に、北京の北朝鮮大使館を非公式に訪れた自民党の山崎拓も、制裁解除を前提として拉致問題再調査を要請しており、調査委設置の内諾を受けたと見られている。

8月末に本紙にもたらされた北朝鮮側からの情報によると、「9月に入って間もなく、北朝鮮側が拉致問題再調査委を設置。その委員名を公表することで、日本が制裁の一部解除に踏み切る了解が確認されている」とのことだった。制裁一部解除とは、万景峰号の入港許可と、北朝鮮公人の往来解除を意味している。

在日北朝鮮人の最大の拠り所である朝鮮総聯は、かつてはコミンフォルムの支配下にあり、旧ソ連の影響を受けていた。ソ連崩壊後、総聯の勢力が一時的に落ち、さらに対日政策、対南(対韓)政策の変更などから、総聯は存在感が薄くなり、本国における発言力も低下していた。総聯としては、態勢挽回のためにも、今回のチャンスは逃すことのできないものだった。

ご存じの通り、明日9月9日は北朝鮮の建国記念日である。しかも今年は、建国60周年であり、大祝賀祭が予定されているのだ。この記念式典には、許宗萬(総聯中央本部責任副議長)、張炳泰(朝鮮大学学長)、朴喜徳(総聯経済委委員長)等々の在日の大物がズラリと招待されている。だが、もし制裁一部解除が実行されなければ、式典に参加する北朝鮮幹部たちは「公人」であるために、二度と日本には戻れなくなってしまう。もっとも万景峰92号で訪北するわけではなく中国経由の航空便であるため、彼らの「出国履歴」を正確にトレースすることは至難の業。招待されているからといって実際に参加したかどうかをリアルタイムで知ることがきわめて難しいのは事実だ。

以上の文脈から、奇妙な点に気づかれた方がいらっしゃるだろう。だが、その奇妙な点をより明確にするために、内容を少し整理する必要がある。

北朝鮮は、米国・中国を相手に核を巡る瀬戸際外交を続けてきた。そして、ギリギリのところで「テロ国家指定解除」を受けられなかった。それでもなお、頑として米国の要請を排除し、核施設再稼働を視野に入れているとの発表を行った。そのいっぽうで日本に対し、拉致問題再調査と引き替えに制裁一部解除を切望していたのだ。8月末の時点では。

ところが9月1日に事態が急変した。福田首相が辞任すると発表したのだ。これを受けて4日夜になって、北朝鮮は、「日本の新政権の北朝鮮政策を見極めるまで、拉致問題に関する調査委員会の立ち上げを延期する」と通告してきた。福田辞任で、北朝鮮の対日政策に変更が生じた。

つまり8月末の時点までは、日本が米中などに先駆けて対北朝鮮制裁一部解除を実行することにより、6カ国協議の主導権を日本に委ねるという立場を北朝鮮が選んだと判断できたのだ。北朝鮮の態度が明確になってきた瞬間、福田は辞任してしまった。

ここで2002年(平成14年)9月17日のことを思い出していただきたい。

日本の首相として初めて平壌を訪れた小泉純一郎に対し、北朝鮮の金正日総書記は、拉致問題に関し、「特殊機関の一部が妄動主義、英雄主義に走った」と弁明。「責任ある人々は処罰した。遺憾なことで率直におわびしたい」と語ったのだ。日本のほとんどの人々は、それを当然のことと考えたが、北朝鮮の超トップ、神様以上の存在が拉致を認め、謝罪の言葉を口にしたことは、途轍もない行動だった。この一瞬は、まさに歴史的事件だった。日朝関係は一気に良化に向かい、小泉純一郎の平壌訪問は大成功と評価されてもおかしくなかった。

ところが、その直後に日本の首相官邸で行われた記者会見で、情勢が一変した。会見に臨んだ官房長官が、北朝鮮を激烈に非難したことにより、日本のムードが「歓迎」から「非難」に変わったのだ。金正日・北朝鮮は「悪の権化」と認定され、小泉=金正日による「日朝平壌宣言」は紙屑同然、無視されるべき宣言書に貶められてしまった。

東アジアの歴史が根底から変わろうとしたとき、それを潰しにかかったのは、間違いなく官邸で留守を預かっていた官房長官のひと言だったのだ。そのときの官房長官とは、福田康夫である。



米国の思惑

北朝鮮にとって日本は「旧宗主国」である。日本の国民大衆は、過去の歴史などほとんど忘れ、北朝鮮の地政学的存在意義すら考えていないが、日本がかつて宗主国だった事実は消し去ることができない。

1965年(昭和40年)に、日韓国交正常化が実現した。

このとき、日本から韓国に、大量の経済援助が流入した。それは、単なる資金投資だけに留まらず、技術供与、人的支援、資材供与も含まれていた。

日本は韓国の旧宗主国でもあった。従って韓国の社会基盤や社会システムを初め、ありとあらゆるところに日本の影響が強く残っていた。そんな韓国に日本から大量の経済援助が入り込んだのだ。その結果、当然のことだが、韓国経済は構造的に日本経済に組み込まれてしまった。

旧宗主国の援助で経済発展を行うということは、あらゆるすべてが旧宗主国に依存するしかない体質を生みだしてしまう。何か小さな製品を一つ作るにしても、資材も技術も何もかも、旧宗主国から輸入するしかなくなってしまう。日韓貿易が、韓国が一方的に赤字だという根源的理由のひとつはこれである。

旧宗主国とは、そういうことなのだ。北朝鮮と日本が国交を正常化するということは、旧宗主国の日本が、北朝鮮経済圏の陰の支配者となることを意味している。米国にとって、それは許容できないことなのではないだろうか。

太平洋戦争勃発の理由については、いくつかの理由が挙げられている。そうしたなかで、最大の理由は、今日では満鉄(南満洲鉄道)利権だと説明されている。満鉄の利権の一部を米国に譲っていれば、米国は満洲国を認め、日米戦に発展することはなかったというものだ。事実、当時水面下でそのような交渉が進められていた資料も残されている。

かつて日中国交正常化のとき、当時の田中角栄首相が米国を差し置いて中国と国交を結び、激しい怒りをかったことがある。いま米国は間違いなく、第二の田中角栄の登場を恐れている。日朝国交正常化が軌道に乗ることだけは、何が何でも阻止したい。それが米国の強い意志なのだ。福田首相の突然の辞任の背後に、こうした思惑が働いたと考えると、福田辞任の別の意味が浮上する。

しかし正直なところ、日本にはまだまだチャンスが残されている。北朝鮮は逃げることなく日本の隣国として存在しており、米国は凋落の一途を歩んでいる。ドルは暴落し、歯止めをかけられることはない。グルジアではロシアに嘗められ、中東でも指導力を発揮できていないのが米国の現実の姿である。

米国の大統領選は11月だが、民主党オバマ候補、共和党マケイン候補の戦いは、前回同様、最後の一票までわからないほどの超激戦が予想される。その激戦こそ、米国が思想的に分裂している姿であり、沈みゆく米国の象徴でもある。次から次へと巨大なハリケーンが襲っているのも、象徴なのかもしれない。

日本は、沈みゆく米国にしがみつく必要などない。絶対にない。過去の歴史を乗り越えて、アジアの友邦と共に未来を切り拓いていく必要がある。日本と半島の間には、切っても切れない長大な歴史があり、絡み合った糸がある。

かつて『立正安国論』(文応元年=1260年)を著した日蓮は、朝鮮半島の霊峰・白頭山こそ日本の防衛線だと説いた。文禄の役(文禄元年=1592年)、慶長の役(慶長2年=1597年)と二度の朝鮮に出兵した豊臣秀吉は、白頭山ほか朝鮮半島の七霊山に、龍脈を断ち切る楔を打ち込んだと記録されている。それらの楔が、今日なお、日本と韓国、北朝鮮の関係を悪化させているのかもしれない。

だが、日本は未来永劫アジアに生きる国家なのだ。それを忘れてはならない。■

URL:http://www.gyouseinews.com/domestic/sep2008/001.html


麻生氏、議員票6割確保 1回目投票で決着濃厚 本紙調査

 福田康夫首相の後任を決める自民党総裁選(22日投開票)で、4回目の挑戦となる麻生太郎幹事長(67)=麻生派=が国会議員票(387票)のうち230票を固め、6割を確保したことが11日、産経新聞の調査で分かった。47都道府県連に各3票割り当てられた地方票(141票)でも麻生氏の優勢が伝えられており、1回目の投票で麻生氏が過半数を獲得する公算が大きくなった。他の4候補は必死の巻き返しを続けており、決選投票に持ち込めるかが焦点となる。

 調査は10、11日に各陣営や各派閥幹部、国会議員らから聞き取り取材し、独自に集計した。

 それによると、麻生氏は各派から幅広く支持を集め、国会議員票の過半数である194票を20票以上も上回った。次いで与謝野馨経済財政担当相(70)=無派閥=が50票前後を固め、小池百合子元防衛相(56)=町村派、石原伸晃元政調会長(51)=山崎派、石破茂前防衛相(51)=津島派=らも20~30票をそれぞれ固めた。20~30人はいまも態度をはっきりさせていない。

 派閥別にみると、二階派は全員、伊吹、麻生、高村各派もほぼ全員が麻生氏を支持。第3派閥の古賀派は会長の古賀誠選対委員長ら過半数が麻生氏支持に回った。津島、山崎両派でも、過半数近くが麻生氏支持を表明した。

 一方、2位の与謝野氏は、参院津島派が11日に支持を表明、古賀派でも旧谷垣派を中心に3割近くが支持している。しかし、かつて所属していた伊吹派が4日に早々と麻生氏支持を決めてしまった上、支持を期待していた衆院津島派も石破氏の出馬などで、「非麻生」の受け皿となるシナリオが崩れ、苦戦を強いられている。

 小池氏は、所属する町村派で最高顧問の森喜朗元首相が8日に麻生氏支持を表明したことを受けて半数以上が麻生氏に流れ、支持勢力は11日に表明した中川秀直元幹事長ら約20人にとどまった。石原氏も所属する山崎派の3割、石破氏も津島派の3割程度しか固められていない。

URL:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/177757/



麻生過半数突破の勢い 地方で圧倒、地滑り

自民党総裁選は10日告示され、「大本命」の麻生太郎幹事長(67)のほか、与謝野馨経済財政担当相(70)、小池百合子元防衛相(55)、石原伸晃元政調会長(51)、石破茂前防衛相(50)の5人が出馬した。政治評論家の小林吉弥氏が、22日投開票される各候補の獲得票を予測したところ、麻生氏が過半数突破の勢いをみせ、独走しているという。自民党が“ボロ隠し総選挙”の顔として、麻生氏を指名する公算が強まっている。

■政治評論家・小林氏が票を読む

 「総裁選の焦点は、(1)次期総選挙の顔になるか(2)経済政策への支持が高いか-の2点に絞られた。これに合致する候補は麻生氏しかいない。決選投票なしで、麻生氏が1回目の投票で勝利を収める」

 選挙予測で定評のある小林氏は話す。獲得票予測は、最新の各種世論調査や党内各派閥の情勢、地方県連の動向などをもとに、小林氏が独自に分析した。

 まず先に投開票される地方票(141票)だが、小林氏は「麻生氏100票、与謝野氏11票、小池氏15票、石原氏10票、石破氏5票」とみる。麻生氏が全体の7割以上を獲得する圧勝ぶりだ。

 「地方の麻生人気は高い。景気が急速に冷え込むなか、財政出動も視野に入れた麻生氏の経済政策は受け入れられやすい。県連は3票ずつ持つが、麻生氏が地滑り的に票を集める」

 「与謝野氏の『増税容認論』はやはり敬遠される。小池氏には『反麻生』『非麻生』票がある程度集まる。石原氏は『親の七光』が目立ち、線が細い。危機的な自民党を牽引できない。石破氏は外交・安保は強いが、内政は未知数だ」

■麻生嫌い根強く…議員票は「218」

 帰趨を決める国会議員票(387票)は、どうか。小林氏は「麻生氏218票、与謝野氏96票、小池氏25票、石原氏25票、石破氏23票」と分析する。

 地方票のような大差にならない背景について、小林氏は「麻生派(20人)と伊吹派(28人)、二階派(16人)は『麻生支持』でほぼ固まっている。他派閥は麻生氏優勢だが、割れている。政策の違いもあるが、党内の『麻生嫌い』も根強いからだ。小池氏が所属する町村派(88人)は麻生支持が多いものの、与謝野、小池、石原各氏に票が流れる。石破氏が所属する津島派(70人)や、石原氏が所属する山崎派(41人)も3、4分裂状態」とみる。

■避けたい決選投票

 1回目の投票で、過半数(264票)を獲得する候補がいない場合、上位2人の決選投票となる。

 だが、小林氏は「決選投票になると党が二分した印象になる。自民党は総選挙前にそれは避けるだろう。ただ、麻生氏が絶対的権力を握るのも嫌う。地方票の開票後、絶妙な票の配分があるはずだ。キーマンは森喜朗元首相と青木幹雄元参院議員会長、古賀誠選対委員長だろう。全体で7割以上を獲得すれば圧勝だが、318票では6割程度で圧勝とはいえない」と話す。

 先月25日、夕刊フジの「総選挙 政党別獲得議席予測」で、小林氏は「福田首相で総選挙となれば、自民党は100議席減で下野する。麻生首相となっても過半数割れする」と分析した。

■舌禍飛び出し致命傷の危険性も

 福田首相による無責任極まる「政権放り投げ」後、候補者乱立となった総裁選に注目が集まり、自民党を直撃していた年金問題や後期高齢者医療制度などへの批判はやや薄らいだ。福田首相が演出したメディアジャックは成功したといえるのか。

 小林氏は「麻生、与謝野、小池の3氏による選挙戦なら、自民党にプラスだったが、石原、石破両氏が参戦し、山本一太参院議員までが出馬意欲を示したことで、総裁選が安っぽくなった。国民は『失政隠蔽のお祭り騒ぎ』『総選挙前のパフォーマンス』と冷めている。辞任表明から20日以上の長い総裁選は飽きられる可能性があるうえ、麻生氏の致命傷である舌禍が飛び出す危険性もある。計算通りにはいかない」と話している。

URL:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/177432/
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